2025.06.17
DIY成功の鍵!株式会社横井が徹底解説する塗料選びの極意
2025.05.12
「自分の手で何かを作り上げる」。DIY(Do It Yourself)の魅力は、既製品にはない愛着や達成感を得られる点にあります。家具の補修から、お部屋のイメージチェンジ、エクステリアのメンテナンスまで、DIYの中でも「塗装」は比較的手軽に始められ、劇的な変化を楽しめる人気のカテゴリーです。
しかし、いざホームセンターの塗料コーナーに立ってみると、その種類の多さに圧倒されてしまう方も少なくないのではないでしょうか?「水性?油性?」「ツヤあり?ツヤ消し?」「下塗りって必要?」…。適切な塗料を選べなければ、せっかくのDIYも残念な結果に終わってしまう可能性があります。
私たち株式会社横井は、長年にわたり建築・工業塗装の分野で培ってきた経験と知識をもとに、皆様のDIYライフをサポートしたいと考えております。今回は、DIYにおける塗料選びの基本的な考え方から、用途に応じた最適な塗料を見つけるためのポイントまで、プロの視点から分かりやすく解説していきます。この記事を読めば、あなたも自信を持って塗料を選べるようになるはずです。
1. なぜ塗料選びが重要なのか? – 目的を明確にする
DIY塗装を成功させるための第一歩は、「何を」「どこに」「どのように」塗りたいのか、目的を明確にすることです。塗料にはそれぞれ特性があり、目的に合わないものを選ぶと、以下のような問題が発生する可能性があります。
* 仕上がりの不満: 思ったような色や質感にならない、ムラができてしまう。
* 耐久性の不足: すぐに剥がれたり、色褪せたり、サビが発生したりする。
* 作業性の悪さ: 塗りにくい、乾燥に時間がかかりすぎる、臭いがきつい。
* 素材へのダメージ: 塗る対象の素材を傷めてしまう。
例えば、屋外の木製フェンスに室内用の塗料を塗ってしまうと、雨風や紫外線に耐えられず、すぐに劣化してしまいます。逆に、屋内の壁に強力な溶剤を含む油性塗料を使うと、臭いがこもり健康に影響を与える可能性も考えられます。
だからこそ、まずは「塗装する対象(素材)」「塗装する場所(屋内/屋外)」「求める仕上がり(色、ツヤ、機能性)」を具体的にイメージすることが、最適な塗料選びのスタートラインとなるのです。
塗料の基本:水性塗料と油性塗料の違いを知る
DIY用塗料は、大きく「水性塗料」と「油性塗料」に分けられます。これは、塗料を溶かしている「溶剤」の種類による違いです。それぞれの特徴を理解し、用途に合わせて使い分けることが重要です。
水性塗料
* 溶剤: 主に水
* 特徴:
* 臭いが少ない: 溶剤臭がほとんどなく、室内での塗装にも比較的使いやすい。
* 引火性が低い: 消防法上の危険物に該当しないものが多く、保管や取り扱いが比較的安全。
* 乾燥が速い: 表面乾燥が早く、作業時間を短縮しやすい。(ただし、完全乾燥には時間がかかる場合がある)
* 後片付けが楽: 使用した刷毛やローラーを水で洗い流せる。
* 環境負荷が低い: VOC(揮発性有機化合物)の含有量が少ない製品が多い。
* 主な用途: 屋内壁、天井、木工品、家具など。近年は性能が向上し、屋外用や金属用、コンクリート用なども増えている。
* 注意点:
* 油性塗料に比べると、塗膜の強度や耐久性がやや劣る場合がある(ただし技術進歩により遜色ない製品も多い)。
* 低温時(5℃以下)や高湿度時には乾燥しにくく、塗装に適さない。
* 金属に直接塗装するとサビやすい場合があるため、下塗りが必要なことが多い。
油性塗料(溶剤系塗料)
* 溶剤: シンナーなどの有機溶剤
* 特徴:
* 強い塗膜: 密着性が高く、耐久性、耐候性、耐水性に優れる。
* 美しい仕上がり: レベリング性(塗料が均一に広がる性質)が高く、滑らかで光沢のある仕上がりを得やすい。
* 素材への密着性が高い: 金属やプラスチックなど、水性塗料が密着しにくい素材にも塗装できる場合がある。
* 低温時でも乾燥しやすい: 水性塗料に比べて低温環境での作業性が良い。
* 主な用途: 屋外の木部・鉄部、トタン屋根、機械類、過酷な環境下で使用されるものなど。
注意点
* 臭いが強い: 有機溶剤特有の刺激臭があるため、十分な換気が必要。室内での使用は特に注意。
* 引火性が高い: 消防法上の危険物に該当するものが多く、火気の近くでの使用や保管は厳禁。
* 後片付けに専用うすめ液が必要: 刷毛や道具の洗浄に、塗料用シンナーなどの専用うすめ液が必要。
* VOC含有量が多い: 環境や健康への配慮が必要。
どちらを選ぶべきか?
以前は「屋外なら油性、屋内なら水性」というイメージがありましたが、近年は水性塗料の性能が飛躍的に向上し、屋外用の高耐久な水性塗料も多数登場しています。
DIYにおいては、臭いが少なく、後片付けも簡単な「水性塗料」から試してみるのがおすすめです。特に室内塗装では、健康面や安全面からも水性塗料が主流となっています。ただし、非常に高い耐久性や耐候性が求められる場合や、特殊な素材に塗装する場合は、油性塗料の利点が活きる場面もあります。迷った場合は、塗料メーカーのカタログやウェブサイト、ホームセンターの店員さんに相談してみましょう。私たち株式会社横井へのお問い合わせも歓迎です。
仕上がりを左右する「ツヤ」の種類
塗料には、光沢の度合いによって「ツヤあり(グロス)」「半ツヤ(セミグロス)」「3分ツヤ」「5分ツヤ」「7分ツヤ」「ツヤ消し(マット、フラット)」などの種類があります。ツヤの有無は、見た目の印象だけでなく、機能性にも影響します。
* ツヤあり (グロス):
* 光沢が最も強く、ピカピカとした仕上がり。
* 塗膜が硬く、汚れが付きにくく、拭き掃除がしやすい。
* キズや下地の凹凸が目立ちやすい。
* 用途例: ドア、窓枠、家具、キッチン・浴室の壁(汚れやすい場所)
* 半ツヤ (セミグロス):
* ツヤありよりも光沢が抑えられ、落ち着いた印象。
* ツヤありに近い耐久性・耐汚染性を持つ。
* 用途例: 壁、建具、家具など、幅広い用途に使いやすい。
* 〇分ツヤ (3分、5分、7分など):
* ツヤの度合いを細かく調整したもの。数字が大きいほどツヤが強くなる。
* 微妙な質感を出したい場合に選択肢となる。
* ツヤ消し (マット、フラット):
* 光沢がほとんどなく、しっとりと落ち着いた上品な仕上がり。
* 光を反射しにくいため、壁の凹凸や塗りムラが目立ちにくい。
* 高級感を演出しやすい。
* 塗膜表面が微細な凹凸状になっているため、汚れが付着しやすく、拭き掃除にはあまり向かない。
* 用途例: リビングや寝室の壁・天井など、落ち着いた雰囲気にしたい場所。
どのツヤを選ぶかは、お好みと用途によって決まります。汚れやすい場所にはツヤのあるものを、落ち着いた雰囲気にしたい場所や下地の粗さが気になる場所にはツヤ消しを選ぶのが一般的です。迷ったら、中間の「半ツヤ」あたりを選ぶのも良いでしょう。小さな面積で試し塗りをして、実際のツヤ感を確認するのが最も確実です。
塗る場所・素材に応じた塗料選び
塗料は、塗装する場所(屋内/屋外)や素材(木、金属、コンクリート、プラスチックなど)によって、最適なものが異なります。パッケージや商品説明に「用途」が明記されているので、必ず確認しましょう。
屋内用塗料
* 壁・天井:
* 水性塗料が主流。臭いが少なく、安全性の高い「室内壁用」「インテリア用」と表示されたものを選ぶ。
* F☆☆☆☆(フォースター)マーク:シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの発散量が最も少ない等級を示すマーク。健康面を考慮するなら、この表示があるものを選ぶと安心。
* 機能性塗料:調湿効果、消臭効果、抗ウイルス・抗菌効果、汚れ防止効果など、付加価値のある塗料も人気。
* 木部(家具、建具など):
* 水性・油性ともに選択肢あり。木目を活かしたい場合は「ステイン」や「ニス」、色を付けたい場合は「木部用塗料」を選ぶ。
* 耐久性や耐水性が求められるテーブル天板などには、塗膜が強い油性ニスやウレタン系塗料も適している。
* 鉄部:
* サビの発生を防ぐため、「サビ止め効果」のある下塗り塗料(プライマー)を塗ってから上塗りするのが基本。
* サビ止めと上塗りが一体になった塗料もある。
屋外用塗料
* 外壁:
* 耐候性(紫外線や雨風に耐える力)、耐久性、防カビ・防藻性が重要。
* アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素など、樹脂の種類によって耐久年数や価格が異なる。DIYでは比較的手頃で扱いやすい水性シリコン塗料などが人気。
* 木部(ウッドデッキ、フェンスなど):
* 防腐・防カビ・防虫効果のある「木材保護塗料」が必須。
* 木目を活かす「浸透タイプ」と、塗膜を作って保護する「造膜タイプ」がある。用途や好みに合わせて選ぶ。
* 定期的な塗り替えが必要。
* 鉄部(門扉、シャッターなど):
* 屋内同様、サビ止めが重要。強力なサビ止め効果を持つ油性塗料が使われることが多いが、高性能な水性サビ止め塗料もある。
* 耐候性の高い上塗り塗料を選ぶ。
* 屋根(トタン、スレートなど):
* 遮熱効果のある塗料を選ぶと、夏場の室温上昇を抑える効果が期待できる。
* 過酷な環境に晒されるため、特に高い耐久性が求められる。安全確保のため、高所作業は専門業者への依頼も検討する。
* コンクリート・モルタル(床、基礎など):
* 耐摩耗性、耐水性、密着性が重要。
* 「コンクリート床用」「防水塗料」など、専用塗料を選ぶ。
特殊な素材
* プラスチック: 素材の種類(PP, PE, 塩ビなど)によって塗料の密着性が異なる。必ず「プラスチック用」と表示されたものや、専用プライマーを使用する。
* 非鉄金属(アルミ、ステンレスなど): 塗料が密着しにくい素材。専用プライマーが必須。
5. 縁の下の力持ち!下塗り塗料(プライマー・シーラー)の重要性
美しい仕上がりと耐久性を実現するためには、「下塗り」が非常に重要です。下塗り塗料には、主に以下のような役割があります。
* 密着性の向上: 上塗り塗料と塗装面の密着を高め、塗膜の剥がれを防ぐ。特に、金属やプラスチック、吸い込みの激しい木材、古い塗膜の上などに塗装する場合に効果を発揮する。
* 吸い込み止め: 木材やコンクリートなど、塗料を吸い込みやすい素材の表面を固め、上塗り塗料の吸い込みを抑える。これにより、塗りムラを防ぎ、少ない塗料で仕上げることができる。
* サビ止め: 金属面のサビの発生・進行を抑える。
* アク・シミ止め: 木材のアクや、壁のシミなどが上塗り塗料に浮き出てくるのを防ぐ(シーラー)。
* 下地の色の隠蔽: 濃い色から薄い色へ塗り替える場合などに、下地の色を隠し、上塗り塗料の発色を良くする。
「面倒だから」「コストがかかるから」と下塗りを省略してしまうと、せっかくの上塗り塗料が本来の性能を発揮できず、早期の剥がれや変色、サビの発生といったトラブルにつながる可能性があります。素材の種類や状態に合わせて、適切な下塗り塗料を選び、必ず工程に組み込むようにしましょう。「プライマー」「シーラー」「フィラー」「サフェーサー」など様々な名称がありますが、基本的には「下塗り用」と表示されているものを選べば大丈夫です。迷った場合は、上塗り塗料と同じメーカーの下塗り材を選ぶと相性の問題が起こりにくいです。
塗装に必要な道具と準備
塗料が決まったら、次は道具の準備です。最低限、以下のものを用意しましょう。
* 刷毛(ハケ): 細かい部分や隅を塗るのに使用。水性用、油性用、兼用がある。毛の種類(山羊毛、豚毛、化繊など)や幅、厚みも様々。塗る場所や塗料に合わせて選ぶ。
* ローラー: 広い面を効率よく塗るのに使用。ハンドルとローラー(筒)部分を組み合わせて使う。ローラーには毛足の長さがあり、平滑な面には短毛、凹凸のある面には長毛を選ぶ。
* ローラーバケット・トレイ: ローラーに塗料を均一に含ませるための容器。バケットにはネットが付いているものが便利。
* マスキングテープ・マスカー: 塗料が付着してはいけない部分を保護(養生)するために使用。マスカーはテープとビニールシートが一体になっており、広い範囲の養生に便利。
* サンドペーパー(紙やすり): 塗装前の下地処理(汚れ落とし、古い塗膜の除去、表面を荒らして塗料の密着を高める)や、塗り重ねの際に表面を滑らかにするために使用。目の粗さ(番手)が色々あるので、用途に合わせて選ぶ。
* ヘラ・スクレーパー: 古い塗膜を剥がしたり、パテ処理をしたりする際に使用。
* ウエス(布): 汚れの拭き取りや、道具の手入れに使用。
* 手袋: 手の汚れや、塗料・溶剤による肌荒れを防ぐ。
* 保護メガネ・マスク: 塗料の飛散や、溶剤の吸入から目や呼吸器を守る。特に油性塗料やスプレー塗装の場合は必須。
* 塗料を撹拌するもの: 塗料は成分が分離・沈殿していることがあるため、使用前によくかき混ぜる必要がある。割り箸や専用の撹拌棒を使う。
* (必要に応じて)脚立・はしご: 高い場所を塗装する場合に必要。安全には十分注意する。
* (油性塗料の場合)塗料用シンナー(うすめ液): 塗料の粘度調整や、道具の洗浄に使用。必ず塗料に適合したものを選ぶ。
塗装前の「準備」が成功の8割を決めると言っても過言ではありません。
1. 清掃: 塗装面の汚れ、油分、ホコリ、カビなどをしっかり落とす。
2. 下地処理: 古く剥がれかかった塗膜やサビを除去し、サンドペーパーで表面を軽く研磨する(目荒らし)。穴やひび割れがあればパテで補修する。
3. 養生: 塗料が付いてはいけない箇所をマスキングテープやマスカーで丁寧に覆う。床なども新聞紙や養生シートで保護する。
この準備を丁寧に行うことで、塗料の密着性が高まり、仕上がりの美しさが格段に向上します。
7. 環境と健康への配慮 – VOCについて
塗料、特に油性塗料には、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)が含まれていることがあります。これらは大気汚染の原因となったり、吸入すると健康に影響を与えたりする可能性があるため、近年規制が強化される傾向にあります。
DIYを楽しむ上でも、環境や健康への配慮は重要です。
* 低VOC・ゼロVOC塗料の選択: 水性塗料を中心に、VOC含有量を大幅に削減した製品や、ほとんど含まない製品が増えています。パッケージの表示を確認してみましょう。
* 十分な換気: 塗装中および乾燥中は、窓を開けるなどして常に換気を心がける。特に室内塗装や油性塗料を使用する場合は必須です。
* 適切な保護具の着用: マスクや手袋を着用し、できるだけ塗料や溶剤に直接触れたり、吸い込んだりしないように注意する。
小さなお子様やペットがいるご家庭、アレルギー体質の方などは、特に塗料選びに慎重になり、安全性の高い製品を選ぶようにしましょう。
最後に– 塗料選びを楽しもう!
DIYにおける塗料選びは、一見複雑に思えるかもしれませんが、基本的なポイントを押さえれば、決して難しいものではありません。
1. 目的を明確にする(何を・どこに・どうしたいか)
2. 塗料の種類を知る(水性 vs 油性)
3. 仕上がりをイメージする(ツヤの選択)
4. 場所と素材に適したものを選ぶ
5. 下塗りの重要性を理解する
6. 必要な道具と丁寧な準備を怠らない
7. 環境と健康に配慮する
これらの点を意識して、ぜひ塗料選びそのものを楽しんでみてください。色見本を眺めたり、機能性を比較したりする中で、あなたのDIYプロジェクトへの期待感はさらに高まるはずです。
もし、どうしても迷ってしまう場合や、より専門的なアドバイスが必要な場合は、遠慮なく私たち株式会社横井のような専門家にご相談ください。皆様のDIYが、より豊かで楽しいものになるよう、私たちは知識と経験をもってサポートさせていただきます。
さあ、最適な塗料を見つけて、あなたの手で素敵な空間や作品を生み出しましょう!